黄熱が町に到来

州保健局によると、昨年2017年11月から2018年1月までの3ヶ月間、ミナス・ジェライス州で黄熱のため36人が死亡した。
罹患者の死亡率は40%を超える。
そしてその全員が黄熱予防接種を受けていなかった。

患者は州都ベロ・オリゾンテ大都市圏に集中しているが、州西方のトリアングロ・ミネイロ地方に位置するわが町の都心部近辺で、2ヶ月前に発見された野生の猿の死体を検査した結果、黄熱によるものであったことが昨日発表された。
町の人口の90%が予防接種済みだと言うので、10%にあたる約6万人は未接種である。
ブラジル保健省は、人口の95%が接種済みとなることを目標としている。

市衛生当局は、黄熱にかかった野生猿の死体が見つかったといっても、人への感染は起きておらずむやみに心配することはないと、パニック状態になることを戒める。
しかし市衛生当局は、予防接種方針を変更して、9歳以上60歳までの未接種者に全て接種を促している。
これまで60歳以上の人には、医者にかかって接種可能診断書を提出するよう要求してきたが、これに代わり当日接種所での問診だけに簡略化して、この年齢帯の未接種者にも接種を勧めている。
市内70か所の接種所に加えて、人が集中するバスターミナルと公園の2か所で臨時接種所を設けて対策にあたる。

デング熱・チクングニア熱・ジカ熱・黄熱の媒介者ネッタイシマカ対策のため、水たまり撲滅の訪問点検指導は、例年通り行われている。

未接種の6万人が慌てふためき保健所に行列を作る光景は、今のところ見られていない。
犠牲といえば、気の毒な野生の猿2頭が、病気媒介は猿によると勘違いした心無い住民の石つぶてで殺されてしまった。
媒介者は3種類の蚊である。

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一度の予防接種で一生心配なしの黄熱

Brazil yellow fever: WHO warns travellers to Sao Paulo
17 January 2018

Updates on yellow fever vaccination recommendations for international travelers related to the current situation in Brazil
Information for international travellers
16 January 2018

カーニバルも近づいてきて、サンパウロやリオを旅行する予定の人もいると思うが、上のBBCの記事及び世界保健機関の発表では、新たにサンパウロ全州に対して、外国の旅行者は黄熱の予防接種をすませておくことを推奨している。

WHOサイトによると2017/07/01から2018/01/08の期間で、黄熱で死亡した野生猿が確認された州は、マット・グロッソ・ド・スル、ミナス・ジェライス、リオ・デ・ジャネイロ、サン・パウロで、さらに17州で死亡猿の病原確認作業中である。
同期間で確認済みの黄熱患者数と死亡者数は、ミナス・ジェライス(1-1)、リオ・デ・ジャネイロ(1-0)、サン・パウロ(8-2)、連邦区(1-1)、合計(11-4)である。
現在1月20日にはもっと増えている。

最も有効な対策は予防接種であるのだが、黄熱の予防接種は接種後10日経たないと有効にならず、それ以前の期間は証明書で有効とされないことに注意してもらいたい。

サンパウロ州知事は「サンパウロ州全体を汚染地域として一括りにするのは大げさ過ぎる」と文句を言っていた。
確かに、黄熱が発生しているのは農村森林地帯だけで、そこに実際に行ったり住んでいる者しか感染発病していない。
感染者-ネッタイシマカ-未感染者、という感染経路を持つ都市型黄熱は、1940年代からブラジルで確認されていない。

しかし、外国人にしてみれば、サンパウロ州内のどこが危険でどこが安全かなど説明されても、地理がわからないのは当然である。
そのためにWHOは、サンパウロ州全体を危険地域として注意を促している。
ブラジル政府は国内向けに、サンパウロ州内を細分した地図を作成して、それを使って防疫施策を進めている。

州知事によるといささか大げさと評価されるWHOの発表は、実際に実害をサンパウロ市周辺の住民に及ぼしている。
ブラジル全国の保健所では無料で黄熱の予防注射を接種してくれるのだが、サンパウロ市内では行列待ちが数時間に達しているので、それを嫌う非危険地域の住民が、重点的に住民に予防接種を行っている危険地域までわざわざ出かけていって、本当に注射が必要な現地住民に行き渡りにくいという問題を引き起こしているため、政府は危険地帯に行くなと、広報に躍起である。

本ブログ内黄熱が吠えるで見るように、黄熱の予防接種は通常の服用量ならば99%の確率で一生有効である。
しかし非常事態であるので、サンパウロ州の54都市では、今月末からフラシオナダ(dose fracionada)といって、通常の五分の一量の接種を開始する。

多分現地で勝手に服用量を増加する行為を防止するためと、注射の作業を迅速に進めるためだろう、わざわざ0.1mlしか液が入らず、押し込むとピストンがロックされて二度と使えないという特殊な細い注射器をドイツから二百万レアルかけて緊急輸入して対処にあたっている。
通常の五分の一服用であるが、効果は一生有効であるとの保証はされず、8年としている。
そして、重要なことだが、ブラジル在住の者が黄熱予防接種証明書を必須とする国へ旅行する場合には、フラシオナダではだめで、全量接種でなければ証明書が出せないので、フラシオナダ接種地域・時期であっても接種間2ヶ月の禁止期間を考慮して最初から特別に申し出て全量接種を受ける必要がある。

ついでに国立保健監視庁(ANVISA)で調べた、ブラジルでの
黄熱予防接種から証明書(Certificado Internacional de Vacinação ou Profilaxia)発行までの手続き
を書いておこう。
無料である(公的保健所での接種は無料であり、少なくともANVISAのサイトには証明書発行手数料についての記述はない)。

  1. 国内用予防注射カードと念のために身分証明書を持参して、公的な保健所で黄熱予防接種を受けてカードに記載してもらう。カードを持っていない場合にはその場で作成してもらえる。フラシオナダ地域・時期だったら外国へ行くから全量接種が必要であることを説明する。
  2. このページで仮登録を行なう。予約が必要な場所だったら同時に行う。
  3. 本人がこのリストにある証明書発行所へ出頭する必要がある。
  4. 上記国内予防注射カードと写真入り身分証明書を提示して証明書を発行してもらう。

このリストで私立(Privado)と書かれている接種所は、そこで接種した場合のみに証明書を発行してもらえる。私費接種はR$150くらいするらしい。

2月17日までにサンパウロ州全体で650万人、そのうちサンパウロ市は250万人に接種する必要があるから、なかなか大変だと思う。

コパカバーナのてんかんドライバー

(a) epilepsia 〔医学〕てんかん
epiléptico, ca 形 てんかん〔性〕の 名 てんかん患者

(a) convulsão ①痙攣、引きつけ②変動、激動、混乱

リオデジャネイロで一番有名な海岸はコパカバーナ、またはイパネマだろう。
2018年1月18日木曜日、夏時間宵の口、観光客や市民であふれるコパカバーナ海岸沿いのアトランチカ大通りを走っていた乗用車が、突然歩道に乗り上げ歩行者を巻き添えにしながら砂浜に入って、客で賑わう露店バーのすぐ横でようやく止まった。
18人が暴走車の巻き添えになり、ベビーカーに乗っていた8ヶ月の乳児が死亡、外国人ではオーストラリア人観光客が重傷である。

フランスのニースの惨事とは異なり、テロの可能性は元々ない。
しかし、コパカバーナの小惨事では、ドライバーにアルコール反応はなかったが、本人の申告ではてんかんの発作が起きていた。
警察の捜査では、このドライバーにいくつもの問題が指摘されている。

  • 過去5年間に多くの違反(主にスピード違反や信号無視)で62点を累積
  • 免停に達して、当局へ免許証預託の義務があるのに守らず
  • 免許更新時の問診票に、「常用する医薬品」、「高血圧、糖尿病、てんかん、心臓・神経・肺臓病の有無」、「これまでに気を失ったり痙攣したことがあるか」の質問すべてに無しと虚偽記載
  • 特に「常用する医薬品」については一度は書き込んだものの、黒く塗りつぶして訂正した

ときどき日本でも問題になる、てんかん持ちの人は運転できるのかという疑問が、ブラジルでも起きている。

昨日見たニュースでは、医師が診断して、「臨床的にコントロールできて」、最近1年(運転中に)失神したことがなければ、医師の許可のもとで運転免許は交付される、と言っていた。
そして、許可されるのはカテゴリーB(普通車)だけである、つまり、大型車も二輪車も運転免許はおりない。

以下BBC Brasilの記事からである。

最初に断っておくと、このドライバーは「アナキン(Anaquim)」と呼ばれる41歳の男性である。
アナキン・スカイウォーカーではない。
アナキンは名前ではなく、名字である。
スターウォーズ以外で初めて聞いた。

てんかん持ちの人は運転できるのかという問いへの答は、「はい」である。
しかし当然条件がある。

  • 直近1年に痙攣の発作が起きていない
  • 神経科医の診断意見書が、「状況を制御できていて、患者が医薬を規則的に服用すること」を保証している

ということで、ニュースで聞いた条件を裏付けている。

問題は、いくら診断意見書で運転可と判断しても、患者の規則的医薬服用が前提になること、てんかんの30%くらいは医薬でコントロールできない性質であることで、後者の場合は診断書で運転不可とされるべきものである。

人口の1.5%がてんかんの持病を持ち、リオデジャネイロ州だけで25万人がいて、そのうち8万人が耐医薬性であり、運転免許が交付されてはならないグループと考えられている。

問題点を整理しておく。

  • てんかんの診断は難しく、運転可否の診断は不十分になりがちである
  • 問診票はあてにならない

これから免許を取る・更新するものが、問診票に不利な回答を書くことは期待できない。
事故を起こしてしまうまで野放しという状態である。
今後は、問診票に虚偽を記入して事故を起こした者は、即免許取り消しとするような罰則的法律が作られない限り防止できない。
それにしても、本人と周りの人を巻き込む事故を起こすまで免許を持つことを許すのだから、社会に及ぼす潜在的危険が大きい。

日本でもブラジルでも、住んでいる場所によっては公共交通機関が不便・不快で、免許と自動車を所持していないと、特に年寄りや病人のような弱者にとって「生活の質」が悪くなるから、そのような者へ代替案を提案しないで、ただ免許を取らせないだけでは解決しない。