バッハ作、味付け鸚鵡

OTTAVA(オッターヴァ)
を聞いていたら、
J. S. バッハ「適正律クラヴィーア曲集」、武久源造(フォルテピアノ)
と曲紹介があった。
平均律ではなくて適正律の方がよいというのだ。

通常よく使われるのは、
「平均律クラヴィーア曲集」
であって、Google日本語変換で 「へいきんり」まで打つと出てくる第一候補になっている。
ウィキペディア見出しも同じである。

しかし、この曲名のポルトガル語訳が困ったものなのだ。
この曲の英語名、The Well-Tempered Clavierも踏まえて読んでもらいたい。

O Cravo Bem Temperado (no original alemão: Das wohltemperierte Klavier)
と書いてある。
ちなみにカッコ内は原語ドイツ語である。

O CRAVO BEM TEMPERADO
と紙に書いて家族に見せて何を想像するか聞いてみた。

妻:クローブ(丁字)?
違う。
息子:オウム(鳥)?
もっと違う。
一体お前はオウムを調理して食べるのか?
息子:音が合った?
惜しいが、調律が合っているのはオウムではないぞ。

だいたい、temperadoの原形temperarは日本語の天麩羅の語源となったと言われるもので、bem temperadoといったら、「よく味付けされた」をまず思い浮かべる。

cravoも意味がたくさんある

  • カーネーション
  • クローブ
  • 馬蹄釘
  • にきび
  • (足の)うおのめ
  • (最後にようやく)クラヴサン

が辞書(現代ポルトガル語辞典、白水社)にのっている。

オウムという意味はどの辞書にもないが、よく聞く表現である。
MichaelisのDicionário Brasileiro da Língua Portuguesa(インターネット版)を見ると、「煩わしい人」という意味があるから、喋ったり叫んだりを止めないオウムもこれに入るのだろうか。
あるいは方言かもしれない。

Ave Maria(BWV 846 前奏曲)は聞けば誰もがわかると思うけれど、バッハ大先生には申し訳ないが、ごく普通のブラジル人に”O Cravo Bem Temperado”と言って、一発で曲名だと思いつく人は皆無に近いのではないか。

普通の日本人に「平均律クラヴィーア」と聞いたら、「一体それ何?」と言う答えが多いのだろうか?

音楽と料理を一緒にするなと言うかもしれないが、「平均な」味付けするより―そもそもbemに平均という意味はない―、「適正な」味付けしたほうがずっと美味いだろうから、武久氏の主張する曲名が良いように思う。

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