ブラジル運転免許の値段

息子がさきごろ運転免許を取ったので、取得までいくらかかったかを記録しておこう。

最初に取得する免許はいわば暫定免許(PERMISSÃO)であって、実際の5年有効免許証と同じ用紙であるが、PERMISSÃO欄に”PERMISSÃO”の文字が印刷されていて、有効期限1年間である。
重大な交通違反(infração de natureza grave)が皆無、中程度の交通違反(infração de natureza média)が1回までで1年間経過すれば、恒久な(definitiva)免許証が取得できる。
それまでの1年間は非常に慎重に運転しなければならない。

CNH

ブラジルの運転免許は、Carteira Nacional de Habilitação (CNH)と正式に呼ばれ、カテゴリAからEまで5種類ある。
http://www.brasil.gov.br/cidadania-e-justica/2009/10/carteira-nacional-de-habilitacao-cnh-possui-cinco-categorias
から引用する。

A 二輪及び三輪車、側車付きも含む
B 総重量3500キログラム未満、運転手を含まない乗員最大8名まででAに含まれない車両
C 総重量3500キログラムを超える貨物輸送に使われる車両
D 運転手を含まない乗員8名以上の乗客輸送に使われる車両
E 構成する車両一単位がB,C,Dに区分されるか、牽引される車両の総重量6000キログラム以上あるいは乗員8名以上か、あるいはトレーラーに区分される連結車両

運転免許を最初に取得する場合は、満18歳以上、読み書きができ、身分証明書とCPF(自然人登録-経済活動に必要)を所持する者で、A, Bそれぞれ単独, あるいはAB同時ができる。
B所持者はCあるいはDを取得可能、C所持者はDあるいはEを、D所持者はEを取得可能であるが、それぞれ前のカテゴリー所持最低1年を経てから上のカテゴリーの取得可能資格ができる。

最も一般的な、初回B取得について述べる。
確か現在、公認自動車学校で法令・構造・救急・安全運転・環境保全など合計45時間の講習を受けた後に筆記試験受験資格が、25時間(つい先日まで20時間だった)の運転実技を受けた後に運転実技試験受験資格ができる。
筆記及び実技試験は自動車学校でなく、州政府の試験場(当市では実技試験は場所は指定されているものの普通の路上)にて行われる。
自習で学んで筆記試験、運転練習場で慣れて実技試験に直接挑むことはできない。
講習や実技の時間数は、公認自動車学校に備え付けた指紋承認タイムスタンプ機で本人確認される。

自動車学校基本料金(45h+20h) 550,00
身体検査料 134,00
原簿作成手数料 46,58
自動車学校再開手数料 70,00
筆記試験手数料
Inscrição para exame de habilitação
52,76
路上実習許可証発行手数料
Expedição de licença de aprendizagem
39,57
路上実技講習追加10時間 380,00
実技試験手数料3回 158,28
車両賃貸と?使用料 135,00
免許証発行手数料 54,46
合計 1.620,65

以上が免許証取得までに実際にかかった費用を書き出したものである。
端数が細かいのはミナス・ジェライス州政府へ支払った手数料、金額が丸いのは自動車学校へ支払った金額である。
なお、教材費、自動車学校や試験場への交通費は含んでいない。

実際のところそれほど簡単とは思わないが、一発合格して補習とか再試験とかが全くなかったとしたらいくらになるか。
運転実技補習10時間と試験手数料2回に加え、全期間2年半の中で一時中断(諸事情で始める前に1年以上休止)したために、再開に必要だった手数料を差し引くと、1.065,13レアルとなる。

あくまでも目安ということで、1レアル=40円で換算すると、42,605円が必要最低金額、実際にかかった金額は64,826円ということになった。

州政府の手数料は州によって異なる可能性がある。
自動車学校は共通定価表などは無く、自由競争である。

陰険トムはDDT散布

歩いていると、ときどき興味深いものをみつける。
スーパーで買い物の後、駐車場でみつけた車は、ハッチバックの後面ドアガラス一面が宣伝になっていた。

懐かしいアメリカの漫画「トムとジェリー」である。
何の車か、もっとよく見てみる。
あいにくカメラは持っていなかったのでメモした。

Dedetizadora e Desentupidora
TOM & JERRY
Limpeza de caixa d’água
Limpeza de caixa de gordura
Controle de pássaros (pombo)
Descupinização
Controle de roedores

害虫駆除とパイプ詰まり修理
トムとジェリー
貯水槽清掃
廃油分離槽清掃
鳥(鳩)対策
シロアリ駆除
げっ歯類対策

絵をよく見る。
先を歩くジェリーと手をつないでいるトム、しかしトムはもう一方の後ろ手に棍棒を持っている。
ジェリーを笑顔でだまして棍棒の一撃などと、トムお前は卑怯だぞ、と思ったが、あの漫画実はさんざんジェリーを追い回したトムは結局のところ要領が悪いので、ジェリーと仲の良いブルドッグ・スパイクがそのうち登場して反対にやっつけられるというのが常だったことを思い出す。
どっちもどっちか。

でも害虫駆除業者の宣伝であり、しかもげっ歯類対策とうたっているから本気度満々でジェリーを殺す気なのだろう。
と思ったら、すぐ上に小さい字で代表者の名前が書いてある。
Jerry Adriane
ジェリー・アドリアネ
ジェリーという女性名があるのか、それとも愛称なのか、アドリアネは普通女性の名前だが、ここには書いてない彼女のパートナーの愛称がトムなのか。
それだったらこのトムとジェリーの絵は夫婦喧嘩ということになるが、まあそんなところで深い意味は無いのだろう。

ここから少しポルトガル語の話になる。
dedetização(名詞)という単語は奇妙な響きである。
デデチザソンというのだが、「デデ」と同じ音が2つ続くのが怪しい。

同じ音が2つ続く単語がないわけではない。
一番馴染みがあるのはパパ(papa)、これはお父さんではなく、英語ではpope、ローマ法王である。
母はmãe、父はpaiであるが、お母ちゃん、お父ちゃんとなると同音が2つ続いてmamãe、papaiとなるから、子供言葉というか赤ちゃん言葉は同じ音が2つ続くことが多いと言ってよさそうである。

日本語でもおばあさん、おじいさんが子供言葉では、ばーば、じーじとなるだろう。
ロシアのムソルグスキー作曲「展覧会の絵」に、バーバ・ヤーガの小屋というのがある。
バーバはロシア語・日本語共通なのだろう。
というのは本当かどうか気になって調べてみると、バーバ・ヤーガは妖婆であると書いてあるが、ヤーガという名前の婆さんという意味ではないようである。
Ба́баとは女性であるとGoogle Tradutorは教えてくれる。
女性はすべて婆さんになるんだと、ロシア人は賢く悟っているようだ。

戻ってデデチザソンである。
dedetizaçãoという単語は、割と広告で見ることが多いので今まで辞書を引いたことなどなかった。
害虫駆除という意味だと思っていた。
今回はじめて辞書で確認してびっくりした。
動詞形のみ載っていて、dedetizar 他動詞 DDTを散布する、となっている。
なんと、dedetizarとはDDTizarということだったんだ。

DDT(ポルトガル語読みはデーデーテー diclorodifeniltricloroetano ジクロロジフェニルトリクロロエタノ)の記憶では、第二次世界大戦後の占領米軍による、私の親世代にあたる日本の児童のシラミ退治のため粉を振りまいている写真があるが、ああ不潔な敗戦国だったのかという感情なしに見ることはできない。
Wikipediaによると日本では1971年(昭和46年)5月にDDTの農薬登録が失効した。

一方でブラジルでは2009年になってようやく製造・輸出入・貯蔵が禁止された。
ごく最近まで文字通りDDTを撒いていたらしい。
日本とブラジルの間で時間がかかりすぎという印象を持つが、マラリア蔓延国ではDDTに代わる有効な薬剤が存在しなかったという事情(Wikipedia)は無視できないので、表面的にブラジルはなんと遅れているのだろうと判断を下すことはしたくない。

「沈黙の春」昔はDDTをはじめとする農薬の害で虫や鳥の声がしなくなった光景を想像したのであるが、立入禁止となった放射能汚染地区の、灰色あるいは茶色の、単色の動くもののない街を想像してしまうのは、チェルノブイリ後、福島後の厳しく悲しい現実である。

この歳になったら中高年専門結婚相談所

ある愛読しているブログを見た。
niftyココログである。
出会い系ではない。
ブログ自体はいつも通りなのだが、きょう出てくる広告が斬新なのだ。

「中高年専門結婚相談所アイシニア」
普通の結婚紹介サイトはこれまでも宣伝の常連、日本ブラジル取り混ぜてよく見かけるのだが、今回違うのは、
「50才からの出会い」
「この歳になったからこそ本気でパートナーを見つけたい」
ときたもんだい!
思わず語尾が熱くなる。

誰のパソコンにもこの宣伝が出るとは考えにくい。
よく使う検索語とか訪問サイトとかインターネット上の活動から採取した私の属性が、50歳超え独身タイプと一致したのだろう。
そして仮想の私は、近々日本に帰国して配偶者を探すことになっているのだ。

笑い飛ばしておしまいにしようと思ったが、ひっかかるものがある。
もしもブラジルにいる現実の私が、ブラジル生活と家族に嫌気が増していて、別れたい帰りたいと切望しているところへこの広告があったら、背中を強く押してくれるのではないか。
「日本へ帰って、本気でパートナーを見つけることができる」ぞ。
離婚それから帰国へ吹っ切る強い動機になる。

パソコンに出てくる、計算しつくされているはずなのだが怪しげで気まぐれな広告によって、人生の重大な選択をすることになるのか。
インターネットは神だったのか。

現代の神の手から逃れるすべはあるのか。
インターネットに触らない、という方法を除いて。
逆に現代の神を欺くことはできるのか。

普段から高校とか大学のサイトを度々訪問して、検索語や動画サイトもteensが見るようなものをあえて求めていったらどうなるだろうか。
SNSのつながりも、若年の仲間を無理に探して、人格を創造することはできるか。
そうすれば中高年専門結婚相談所に代わって受験塾とか予備校とかの宣伝が表示されるようになるのだろうか。
年頃の子供がいることを現代の神が察知して、中年男のデスクトップに大学高校や予備校の宣伝を入れるようになったら、巧妙で怖いが、きっと可能だろう。
同じ家の同じIPアドレスから二通り、三通りのプロフィールを採取するなど容易そうだ。

そんなことを考えていたら、インターネットラジオOttava Salone 金曜日で、星新一の「声の網」が紹介された。
昔読んだことを思い出した。
商用インターネットがまだ生まれていなかった昭和45年、1970年に、今回インターネット広告に感じた疑惑をすでに予言していた。

疑惑の目で妄想し始めると、「知らなかったら幸せだったのに」感が強くわき起こってくるので止めておく。
現代の神様はそのうち保険屋とか病院とか介護施設とか葬儀屋とかを紹介してくれるのだろうか。

ブラジル毒死亡蜘蛛

噛まれると「ビンビンになってバイアグラと同じ効果を発揮する毒グモ」がスーパーのバナナに寄生!! 最悪の場合は死に至ることも!- ロケットニュース24(2015年3月23日00時00分)
http://rocketnews24.com/2015/03/23/557852/

2週間くらい前にこんな記事が出たことを最近知ったのであるが、こんなのこわーいものが身近にあったなんてブラジルで聞いたことがない。
「ブラジルドクシボグモ(英語名:フォニュートリア)」で、ギリシャ語では “殺人者” を意味する。
と書いてある。
突っ込むと、「フォニュートリア」は英語名でなく学名、学名の常としてラテン語あるいはギリシャ語である。
確かに“殺人者”を意味するようだが、
The genus Phoneutria (Greek for “murderess”)
であるから男性ではない、女性の殺人者(くどいが、女性を殺すのでなく、女性が殺す)である。
英語名は、元の英語記事ではBrazilian Wandering Spiderと呼んでいるではないか。
ブラジル放浪グモ?
殺人者とか放浪者とか危なげなものはブラジルに一杯あるが、クモまでそうなのか。

和名はブラジルドクシボグモ?
ブラジル・ドク・シボ・グモと区切るのだろうか。
シボとは何だ?
ブラジル毒死亡蜘蛛ということか。

元の英語記事はこれだ。
Spider that can give men four-hour erections found in Tesco bananas
http://www.telegraph.co.uk/news/earth/wildlife/11466651/Spider-that-can-give-men-four-hour-erections-found-in-Tesco-bananas.html

この記事やWikipediaによると、ギネスブックで毒性最強、世界一の毒グモと称されるという。
ポルトガル語では、armadeira, aranha-macaco, aranha-de-bananeiraと3つの名称が載せてある。
聞いたことないぞ。
しかし説明を読むとかなり怖い。

英名のwanderingの由来は、普通のクモのように巣を作って獲物を待つのでなく、ジャングルの地面を歩き回るからそう呼ばれる。
昼間は物陰やバナナの木(正確には樹木ではないが)などに隠れていて、夜徘徊する。
だから英語別名banana spiderと呼ばれ、ポルトガル語のaranha-de-bananeiraは同じ意味である。

南アメリカ原産、体長は3.5から5cm、足を伸ばした全長はメスで17cm!
大きい。
しかも攻撃性が強く毒性が高い。
獲物、交尾相手、単に隠れ場所を求めてしばしば人家に侵入し、衣服や靴の中に隠れる。
脅かされると怒って何回も噛み付く。
ブラジルでのクモによる咬傷事故件数では、これは私も知っている有名なaranhas-marromチャイログモに続き第2位である。
WikipediaのBrazilian wandering spiderの項には、人の腕をこの巨大グモが這い歩いている写真が載っているのだが、ペットにして飼うと危険と書いてあるのはどうしたものか。

誰も経験したことのない、文献からのみ構成される記事には矛盾のある記述がしばしばあるものだ。

The species is deadly and its venom can kill a human in just two hours – but can also give male victims a four-hour erection.
これらの(クモの)種は致命的で2時間で死に至ることがある-しかし男性は4時間にわたり勃起することもある。

4時間勃起し続ける前に、2時間で死んでしまうんじゃないのか?
2時間で致死に至る毒量と4時間勃起する毒量とはもちろん違うだろうから、後者の毒量でしかも副作用がなかったなら多くの男性には朗報であるはずだ、と思ったら、
Erections resulting from the bite are uncomfortable, can last for many hours and can lead to impotence.
などと書いてある。
勃起しても気持は良くない上にインポになる?
全然良いことないじゃないか。

イギリスの主婦がコスタリカから輸入されたバナナに発見した、孵化しかけた殺人グモの卵、今までブラジルで生活してきて注意などしなかったバナナやバナナの木であるが、また一つ気を付けなければならないものが増えてしまった。