ブラジル通貨・十字軍

日本は十字軍の仲間入り? イスラム国のいう「十字軍」とは何か?

BOOKS&NEWS 矢来町ぐるり 2月3日(火)18時3分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150203-00010003-shincho-int

今回のイスラム国の日本人人質の法外な身代金請求から惨殺に至る事件では、日本の安倍首相のアラブ圏人道援助の発表のタイミングややり方が悪かったとか批判はあるものの、起きてしまったことである。
いつも影のように目立たないようにしていれば変な奴に目をつけられることもなかったと言えようが、授業中分からない問題があって教師に当てられないように、前に座っている人の背に隠れるように体を低くし続けるわけにもいかないだろう。
いつかは当てられて、自分の考えを発表しなければならない時が来る。
もう泣き言を言っても始まらない。

ブラジルにいたらイスラム国の隠れメンバーから拉致されたり街頭無差別攻撃に遭うという極めて確率の低い危険より、銃を持った強盗に街路で襲われる危険や、運転中に対向車線の追い越し違反トラックと衝突する危険のほうがずっと大きい。
面倒な事にはなったが、いつも犯罪や交通事故に対して心がけている注意を忘れないように続けるしかない。
会社命令のためいやいやながら海外駐在している人にとっては、要らぬ災難が降ってきたと思えるかもしれない。

十字軍という言葉を聞くと、古い音楽ファンである私は、以前にジャズ・クルセイダーズ(The Jazz Crusaders)と名乗っていたザ・クルセイダーズ(The Crusaders)を思い出す。
「ジャズ十字軍兵士団」とは大層な名を名乗ると思ったが、ジャズ、フュージョン、ソウル、ポップ(Wikipedia英語ページ)にわたる分野で活躍した。
女性シンガー、ランディ・クロフォード(Randy Crawford)をサポートした1979年のストリート・ライフ(Street Life)はいつ聞いてもぞくぞくする名曲で忘れられない。
歌詞はタンゴの曲にありそうな悲哀、刹那感を帯びているが、演奏と歌は極めてクールで格好良い。

そういえばもっと昔フォーク・クルセダーズというのもあったなあ。
「帰って来たヨッパライ」のテープ早回しはビートルズなんかの影響だったのだろうか。

もう一つの十字軍はブラジルのものだ。
1986年のデノミネーションで、ブラジルの通貨はそれまでのクルゼイロからクルザードになった。
記録を見ると、1000クルゼイロ=1クルザード(Cr$1.000 = Cz$1,00 ポルトガル語数字表記に従う)の比率であった。
Cruzeiro(南十字星)からCruzadoとなったのだが、Cruzadoは形容詞で「交差した」、名詞で「十字軍兵士」という意味だ。

Google Tradutorにかけてみた。
Traduções de cruzado
adjective
crossed = cruzado
criss-cross = cruzado, com linhas cruzadas, rabugento
mongrel = híbrido, mestiço, cruzado, atravessado
noun
crusader = cruzado

最後の名詞形に、クルセイダー=クルザードと書いてある。
インフレと戦う十字軍兵士であったはずだが、残念ながらインフレには勝てずに、その通貨名ははるか昔に使われなくなった。

勇ましいキリスト教徒というとサン・ジョルジェ(po. São Jorge)、英語では Saint George である。
名前のとおり聖人である。
いろいろな国、地域、都市の守護聖人になっている。
イングランド、ポルトガル、ジョージア(国)、リトアニア、カタルーニャ、セルビア、モンテネグロ、エチオピア、ロンドン、バルセロナ、ジェノバ、モスクワ、ベイルートなどが、Wikipediaポルトガル語版のリストにのっている。
セイント・ジョージの赤い十字は連合王国の国旗の一部である。

兵士、兵器工、旅人、農民の守護聖人でもある。
新しいところではブラジル陸軍騎兵隊、フットボールチームのコリンチャンス(Sport Club Corinthians Paulista)の守護聖人となっている。
白馬にまたがり槍を持ち、竜退治をしている姿がよく知られている。

3世紀のローマ帝国軍人、殉教者であったサン・ジョルジェは十字軍とは何の関係もない。
プロフェタ・マオメ(po. profeta Maoné)つまりムハンマドは6-7世紀に現れた預言者である。
十字軍が編成されたのは11世紀から13世紀である。
この三者に接点はない。
しかしきっと勇ましいサン・ジョルジェのイメージや、赤い十字は十字軍の旗印に使われたことと思う。

引用記事によれば、十字軍は、2000年に当時のローマ法王ヨハネ・パウロ2世(po. João Paulo II)が謝罪したという、キリスト教の負の遺産というべきものである。
今から8世紀から10世紀前に十字軍は、ローマ法王の意を汲んで、おおむね平和に暮らしていたイスラム教勢力下の聖地に攻めこんで、十字軍国(en. Crusader states)を打ち立てようとしていた。
そして現在に至りイスラム国(en. Islamic State [of Iraq and the Levant])というものが勃発した。
十字軍や、異端審問のはびこる暗黒時代とも例えられるキリスト教中世の再現と言ったら、歴史の皮肉だろうか。

イスラム国が悲惨で狂気的であるのは、敵や異教徒の捕虜や人質の扱いもそうなのだが、同じ宗教基盤を持ち、普通なら信頼を寄せてくれる仲間になるはずのイスラムのスンニ派の平和な住民であっても、自分らの意に従わないものは容赦なく蹂躙する恐怖支配を根本としている点である。
少年がフットボールの試合を見たから銃殺とは尋常でない。
イスラム国のめざす7世紀のイスラム教創成期とは、そんな陰鬱な時代だったのだろうか。

調べたらクルセイダーズはオリジナルメンバー二人が相次いで2014年に死去した。
実質的活動停止状態と思われる。

ブラジル通貨クルザードはバンドのクルセイダーズよりずっと短命で、1989年に千分の一デノミネーション(Cz$1.000 = NCz$1,00)をしてクルザード・ノーボ(cruzado novo)となり、それも1990年の等価デノミネーション(NCz$1,00 = Cr$1,00)で以前の名前のクルゼイロにとって替わられ、以降この呼称は使われなくなった。

十字軍、一見勇ましく格好良いが、刺を持ち軋轢を生む宗教的偏狭なこの単語が忘れ去られる世界になってほしいものである。

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