ブラズーカとブラジルの風土

ワールドカップ2014ブラジル大会の公式球が、2013年12月3日リオデジャネイロで披露された。
Brazucaと命名されたこのボールは、最近の公式球の流れをくみ、曲線模様で飾られる。
一般から投票を募った公式ボールの名前は、Bossa NovaおよびCarnavalescaをはるかに超える78%の票を集めて当選した。

当地のニュースでは、このボールのデザインをインスパイアしたのは、アマゾン河の蛇行と、ボンフィンの願掛けリボンと説明していた。
当然、曲線模様の形がアマゾン河の蛇行であり、模様の鮮やかな原色が願掛けリボンである。

バイア州の州都サルバドルにボンフィンの主教会 Igreja do Senhor do Bonfimがあるが、ここがいわゆる願掛けリボン、fita (あるいはfitinha) do Bomfimの発祥の地であり、現在もサルバドルの観光スポットとなっている。

wikipediaのFita do Bonfimによれば、発祥は1809年のこと、その長さは47センチメートル、当教会のボンフィンのキリスト像の右腕のサイズと一致する。
当初は絹製で、模様と聖人の名が刺繍され、金銀のインクで仕上げして、首に巻いてメダルや聖像などを吊り下げていたようだ。
つまり、現在よりずっと豪華版だったのだ。
聖者に病気・けが治癒の願掛けをして成就したとき、その部分、例えば腕だったら腕の写真や蝋細工の腕を奉納して、教会を象徴するリボンを記念に頂いたものだったらしい。

一時は廃れたこの風習であるが、1960年台にバイア州にも発生?したヒッピーが飾りとして使うようになり、後には観光客をも呼びこむ、教会にとっては幸運のリボンとなり復活して今日に至る。

色とりどりのリボンであるが、各色はオリシャ(Orixá)というアフリカの種々の先祖神を代表しているという。
サイトによると、各オリシャはキリスト教の聖人とも対応しているそうで、ここでも昔連れて来られたアフリカの人々の信心と、ヨーロッパに由来するカトリックの境目の不明な融合がみられて、非常にブラジル的現象である。
その意味でもこの願掛けリボンをブラジルの文化の一断面として、ワールドカップブラジル大会の公式球のデザインとしたのは当を得たものと思う。

工業化と産業の適地化によって、リボンはポリエステル製になり、サンパウロで製造されたのがサルバドルへ輸送されていたという。
最近になって、原点へ帰れというので、地元バイア州で、綿糸を使って作られるようになったそうだ。

テレビではこう言っていた。
「ポリエステルのリボンは丈夫すぎて切れにくかった。
現在は自然素材の綿になったから、ちょうどよい時期でほころびて擦り切れるようになった。
だから今は、少し昔より願いがかないやすくなったわけだ。」
そうしてみんなが幸せな思いを持てるのだったら、いいことである。

バイアを観光で訪問する人のために、fita do Bomfimの使い方を書いておこう。
リボンを手首に巻くだけである。
結ぶときに、三重結びをするのだが、一結びしたらお願いをする、これを三回繰り返すのだ。
つまり、アラジンのランプのように3つのお願いができるのだ。
あとは手首に巻いたリボンが自然に擦り切れて切れたら願いごとがかなうのを待つだけだ。
非常に簡単である。

色によって効果が異なるのか、リボンは一つだけつけるのかたくさんつけても良いのか、気になるところだか、そこまで詳しく説明したものはみつからなかった。
写真では色の異なるのを6本も腕に巻きつけている。

先に各色はオリシャの一つを代表する、キリスト教の聖人とも対応する、と書いたのだが、よほどの凝り性の人でなければ色を選ぶ必要はないだろう。
ブラジル人でも細かいことは気にしないで、きれいな色の組み合わせを選ぶようである。
ここまで凝らなければやる意味が無い、という徹底完璧をめざす人のためにいちおう書いておく。
wikipediaをみると色とオリシャの対応表(ポルトガル語のみ)があり、見出し語オリシャではどんな性格のオリシャであるか個々の説明(ポルトガル語、英語、スペイン語その他)がある。

しかしこのBrazucaというボール、色鮮やかな風車のようで、緩回転するのを見たら目が回りそうだ。

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