バナップルとリンゴバナナ

最初に書いておくが、これはステマではない。

巷には、バナップルという果物があると聞いた。
調べたら、スミフル Sumifru のサイトにこれをみつけた。
http://www.sumifru.co.jp/line_up/banana/banapple.html
「まるでリンゴのようなさわやかな甘さ。極麗 バナップル Banapple」というのだ。

フィリピンにあるバナナ研究所で開発された新品種で、見た目はバナナだが、初めての味だと紹介されている。
「キウイのようでもあり、なんとなくパッションフルーツのようでもあり、一瞬、梨のようでもあり、はたまた パイナップルのようでもあり。でもなんだかんだと一番近い味はりんご」というので、このふざけたような名前になったという。
結局、いろいろな果物に似ているが、バナナには似ていないバナナである、ということか。

ここで思い出した。
ブラジルにはその名も’maçã’ マサンというバナナがある。
maçãの意味は、リンゴである。
この辺でよく見るバナナの種類は、banana nanica, banana prata, banana maçã, この生食用の3種類が多い。
無理して訳すと、それぞれ、「矮性バナナ」、「銀バナナ」、「リンゴバナナ」となる。
調理用バナナには、banana da terraというのがある。

写真で見るバナップルと実物で見るバナナ・マサンを比較すると、両方とも果実は短くずんぐりしているし、サイトによるとバナップルは皮が薄く傷みやすいというから、その点もバナナ・マサンによく似ている。
ブラジルで一番美味なバナナという声も多いバナナ・マサンが輸出されないのは、傷みやすく保存性が低いからと聞いたことがある。
農業番組で見たが、バナナ・マサンは、他の品種と比べてパナマ病という病気に非常に弱い欠点があるという。
果実が小さく収量が低いのと、病害のためか、バナナ・マサンは他の生食用品種より単価が高い。
どれだけ高いかみてみよう。

バナナ・ナニカは、Carrefourの特売でキロR$1.75する。
バナナ・マサンは、同じCarrefourの特売でキロR$3.59の値がついている。
マサンはナニカの倍以上だ。
1レアル50円として、マサンはキロあたり180円する。
もちろん生食農産品であるから、天候などの要因で値段は激しく上下する。

バナップルは、楽天市場で、400g袋が1,280円で売られている。
キロあたり3,200円だ。
バナナ・マサンとスミフルのバナップルは価格差18倍、別物であると結論しよう。

アクレ州に違法移民警報

Brazilian state of Acre in illegal immigration alert
http://www.bbc.co.uk/news/world-latin-america-22106284

アクレ州はブラジル内陸、アマゾンの上流域にある新しい州(1962年)である。
どんな州か、簡単に調べてみた。

ブラジルの広大で超有名な州、アマゾナス(Amazonas)州の南西端に付属するように接している、いびつな逆三角形を2つ並べたような形の州である。
州都はリオ・ブランコ(Rio Branco, 9°58’27.03″S 67°48’27.56″W)
隣接するのは、北側にアマゾナス州、南側の大部分はペルー、南東側はボリビアで、東端ほんの22キロばかりブラジルのロンドニア州(Rondônia)とも接している。
いかにも人口密度が薄そうにみえて、1平方キロメートルあたり4.80人であるが、ブラジル27州の中で23番目で、より人口密度が少ない州が4つもあるから、やはりブラジルは広いものだ。

当初ボリビア領だったこの地へ、ようやく19世紀末にブラジル北東部からゴムを求めたブラジル人の入植が始まり、一時独立してアクレ独立国(Estado Independente do Acre)を宣言したものの、ブラジル政府の介入占領があり、そのためブラジル・ボリビア両政府の交渉が行われ、結局ブラジルがボリビアからアクレを購入した。
直線距離で見ると大西洋より太平洋に近い内陸なのだが、標高は200メートル程度にすぎず、アマゾン川の多くの支流が流れている。

言ってみれば僻地であるが、そこが違法移民で騒がれている。
なぜこんな所へ遠くから移民がやってくるのか。
ブラジルの国内でもニュースになっているが、BBCの記事をみた。

ブラジルの入国管理官(元記事には書かれていないが、ブラジルの連邦警察が出入国管理を行う)によると、そのほとんどはハイチからであるが、バングラデシュ、セネガル、ナイジェリアからの移民もいる。
最近2週間で1700人の不法入国者が記録された。
アクレ州政府は、連邦政府に不法移民対策用の緊急資金を求めている。

2010年から総計5千人以上のハイチ移民がアクレ州へ到着しているが、最近数ヶ月はセネガル、ナイジェリア、ドミニカ共和国、バングラデシュからの移民が増加してきた。
彼らは、アクレ州と陸続きのペルー・ボリビアの濃密で広大なアマゾン上流森林地帯を利用して国境警察の取締りを逃れながら活動する越境請負人(en. people smugglers)に頼って、不法入国する。

なるほど、やっとわかった。
外洋である大西洋の海岸線へ直接船で到着するより、いわばブラジルの裏側である内陸国境を越境するほうが容易というのが、アクレを入国地に選ぶ理由なのだろう。

“Dangerous odyssey”である。
拘束された不法移民は、州都リオ・ブランコから南西280kmのボリビアと国境を接する町ブラジレイア(Brasileia 11°0’25.69″S 68°44’33.76″W)の移民収容所に入れられる。
ブラジレイアの2万強の人口の10%は、この2年内に到着した移民と推定される。
そのほとんどは、2010年の大地震で壊滅的被害にあったハイチからである。
町の住民によると、警察は不法移民に住居と食物を与えるのに精一杯で町はカオスだという。

どの道を通って、カリブ海のハイチからブラジル内陸のアクレまでやってくるのか?

ハイチの首都ポルトープランス(Port-au-Prince)から空路でまずパナマへ着く。
続いてエクアドル(Ecuador)まで行き、こんどは陸路をとってペルーかボリビアへゆく。
そこからブラジルのアクレ州をめざし横断するのだが、しばしば「コヨーテ」、つまり越境請負人に金を払ってお世話になる。

セネガル人は、モロッコまで行き、スペインに入り、そこから空路でエクアドル入りしたと言った。
エクアドルからの道筋はハイチ人と同じだ。

多くの移民にとって、アクレは最終目的地ではない。
サンパウロやリオデジャネイロのようなブラジルの大都市へ行きたいのだが、生活できればどこの町でもよいとも言う。

ブラジル警察は昨年ブラジリアやサンパウロで、ボリビア・パキスタンの不法移民を、劣悪な給料あるいはタダ働きで雇用している衣料工場(en. sweatshops)を摘発した。

身分証明のない違法移民にとって、多大な金と苦労と危険を冒して、彼らが想像する人生の希望である大都市にようやくたどり着いても、違法であるがゆえ、搾取される場所になっていることが多い、悲惨な物語である。
それでも地震のため全てを失ったハイチ人に混じって、アフリカやアジアからの移民が増加している事実は何を意味するのか。
アクレへの入国はリスクが少なく比較的容易なことが全世界的に知られてきた、よほど本国の生活の環境が悪い、ブラジルの大都市が移民にとって魅力があることなどがその原因としてあげられよう。