神様はブラジル人でも教皇はアルゼンチン人

英語 Pope Francis
ポルトガル語 Papa Francisco

719年ぶりに自分の自由意志で生前退位した前ローマ教皇はBento XVI(ポルトガル語 ベント16世)、その前任はJoão Paulo II(ポルトガル語 ジョアン・パウロ2世)であった。
教皇の名前に~世がつかないと、日本語で座りが悪いような気がするのは私だけだろうか。

極めて安易なダジャレ、根比べ(こんくらべ)を生み出した原語は、Wikipediaポルトガル語をみると、最初にConclave (do latim cum clave, que significa com chave)とある。
つまり、ラテン語ではcum claveと書き、意味は「鍵を掛けて」というそうだ。
過去最長のコンクラーベは2年10か月を費やしたというが、今回は2日で終了した。
根が続かなかったようである。

でもそのために、四旬節入り直前、カーニバル最中の突然のベント(ベネディクト)16世の退位表明から、コンクラーベを経た新教皇選出までの過程が、四旬節に収まり、きたる3月31日の復活祭が新教皇のもと、新鮮な気分で迎えられることになったのはよかった。

カトリック信徒が大多数を占めるブラジルでの、バチカンのニュースは日本と全く比較にならぬほど大量に流される。
毎日コンクラーベの速報が流れ、ニュースのトップは枢機卿たちの動向が解説される。
「鍵を掛けて」外界と遮断した密室で枢機卿たちはどうやって次期教皇を決めるのだろうか。

ニュースで神父が解説してくれた。
「コンクラーベは精霊の導きによって成される」
なるほど、復活祭49日後の日曜日、2013年の場合は5月19日にあたる、ペンテコステ(Pentecostes) 聖霊降臨と同じような神の導きがあるというのだ。
教会の起源となったといわれるペンテコステが、教皇を選ぶたびに繰り返されるという説明はもっともだ。
しかし実際「鍵を掛けて」だから、これを確認するすべはなく、新しい教皇の言動に注目していくしかない。

イエスの最古の使徒ペドロ(ポルトガル語読み)の直系とされる最新の266代ローマ教皇の本名は、Jorge Mario Bergoglio、スペイン語ではホルヘ、ポルトガル語ではジョルジェ、ファミリーネームをみるとイタリア系のようで、ブエノス・アイレス大司教である。

最初の新世界(novo mundo)から、アメリカ大陸(Américas アメリカの複数形)から、ラテン・アメリカからの教皇選出である。
教皇自身は、新世界の、それも一番南端にある出身国アルゼンチンを指して、「世界の終端(fim do mundo)」からと言ったそうだ。
“It seems my brother cardinals went almost to the end of the world”と、http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-21777141には書いてある。

また、最初のイエズス会(jesuíta)出身の教皇でもある。
イエズス会というと、歴史を学ぶ中学生が絶対に覚えなければならない名前、フランシスコ・ザビエルが思いうかぶだろう。
Francisco Xavier、苗字はポルトガル語ではシャヴィエルと読むのだが、当時ナヴァラ王国、現在スペインのヴァスコ地方出身であった。
ポルトガル王の意を受けてインド、さらに日本まで宣教をしたので、後世日本の受験生に名前を覚えられることとなったのだ。

イエズス会が積極的な宣教を行ったのは、アジア方面だけではない。
南アメリカにも、開拓者と先を争うように進出して、グアラニー族の原住民にキリスト教を広めるため、時にはスペイン政府と対立しながらも理想郷をめざした。
現在のアルゼンチン・パラグアイ国境近辺には、イエズス会が作ったグアラニーミッションの廃墟が各地に見られる。
アルゼンチン・パラグアイ両国に、”Misiones”という名の州・県があるのが、その歴史を物語っている。
ミッション The Mission (1986)という映画もあった。

そういったわけで、新教皇のキーワードは、南アメリカと地理的、歴史的に重要な関係を持っているので、フットボールのライバル意識を横においといて、ブラジル人も歓迎しているようである。
もっとも、サンパウロ大司教(Arcebispo metropolitano)であるCardeal Dom Odilo Pedro Scherer 枢機卿が、俗界の下馬評で次期教皇の有力候補だったようだから、新教皇がブラジル人でなかったため、内心残念に思っているブラジル人も多いだろうことは、想像に難くない。
標題の「神様はブラジル人でも教皇はアルゼンチン人」というのは、楽天的で何事も自分に都合良いように考えがちなブラジル人が時々ふざけて言う、「実は神様はブラジル人なんだよ」という戯言から取った。

さて、教皇になると教皇名が決められる。
どうもこれは、教皇本人の洗礼名と全く関係ないようだ。
なぜなら、教皇に選出されてから決められる順番になっているからだ。

当初の報道では、Francisco I フランシスコ1世と言われていた。
最新の報道では、ただのFranciscoとされている。

どうしてフランシスコになったのだろうか。
フランシスコと言って有名な聖人には、フランシスコ・ザビエルのほかにもう一人大物、というか、こちらのほうがブラジルでは有名と思えるのだが、アシジのフランチェスコ(イタリア語読み Francesco d’Assisi)、ポルトガル語ではアシスのフランシスコ Francisco de Assisがある。
12世紀から13世紀に生きたイタリアの聖人である。

報道によると、新教皇の名前フランシスコは、このアシスのフランシスコからとられたと言っている。
この聖人の「謙虚で、質素で、貧しい人々にも平易な言葉で説教した」ところが、現在のカトリックのめざす方向に合致しているというのだ。
相手は人間だけでない。
フランツ・リストの曲に「小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ」というのがあるが、この人は動物と会話ができたというから、ドリトル先生(Doctor Dolittle)の元祖のような人で、現在は動物たちの守護聖人となっている。

ブラジルでコンフェデレーションズカップの熱も冷めぬ2013年7月23-28日に、リオデジャネイロでカトリック教会が計画しているのが、XXVIII Jornada Mundial da Juventude 第28回青年世界ツアーという行事だ。
この大会でブラジルカトリック教会は2百万人の参加者を集め、フランシスコ新教皇も参加することになっていていて、新教皇の最初の大きな外遊とされているので、その言動が注目を集めるだろう。

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