こんな事件には民衆は拍手喝采

86歳のお年寄りの女性が、アパートに侵入した強盗を撃つ。

事件は、2012年6月9日、リオ・グランデ・ド・スル州カシアス・ド・スル(Caxias do Sul, RS)のセントロで起きた。
強盗は3階にある彼女のアパートに、柵をよじ登って侵入した。

彼女は86歳で、3人の娘、5人の孫があった。
タンスにしまってあった32口径のリボルバーで3発発射して、強盗を射殺した。

強盗はアパートの外側の柵をよじ登って、居間に通ずる窓を壊して侵入した。
そこから、彼女が眠っている部屋に向かった。

「こんなことが人生に起こるとは、ただの一度も想像したことはなかった。」

「男はその扉から入ってきたわ。
”どうしてここへ来たの?”
私は入ってきたのは孫だと思って尋ねた。
彼は何も触らず出ていきながら、”静かにしていろ”と言った。
そうして、孫ではないと気づいた。
私はたんすのそばに行って、リボルバーをとった。

”ばあさんよ、(何か分からないことを言って)、とっととそこを開けろよ。”
”どうして開けられますか。
お前さんは、入ってきたところから、出ていくんだよ。”」

大変な状況に驚きながらも、老住人はためらいがなかった。

「”どうしたらいいの?
彼か、私か、だわ。”

私は考えた。
娘たちのこと、孫たちのことを思った。
守るべき人が大勢いる。
そして思い至った。

”お前さんは、今、出ていくんだよ。
”パン”
彼は想像もしていなかった。
一発撃った。
心臓の近くに命中した。

彼は去っていきながら、腕を上げた。
”やつは生きている。”
彼の罪について思った。

”もう一発”
”パン”
”今もう一発”
”パン”」

老婦人は歩くのに支障があり、手は関節炎を病んでいた。
銃を射ったことはかって一度もない、と証言した。
警察はリボルバーを押収した。

それは家族の遺産だった。
「50年間そこにあって、一度も使ったことはなかったわ。
使いたいと思ったこともなかったけれど、使わなければならなかったのよ。」

老婦人は殺意のある殺人(homicídio doloso)の容疑で起訴されるが、逮捕はされず捜査を受ける。
彼女の正当防衛が認められれば、起訴は猶予される。

強盗を恐れて何十丁も武器を収集したあげく、夫婦の愛の変節によって、その武器の一つで命を失う。
遺産として何十年も放置されてきたたった一つの銃で、子孫への愛によって、家族と財産を救う。

先日の食品メーカーYuki役員、武器マニアの日系人Marcos Matsunagaバラバラ殺人事件と比べて、銃とその持ち主の運命の、なんと大きな隔たりだろうか。

(11/06/2012 12h43 – Atualizado em 11/06/2012 14h35
Idosa de 86 anos atira em assaltante que havia invadido seu apartamento
http://g1.globo.com/jornal-hoje/noticia/2012/06/idosa-de-86-anos-atira-em-assaltante-que-havia-invadido-seu-apartamento.html
を参考にした)

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銀行出口は通りゃんせ

通りゃんせと言ったら、行きはよいよい、帰りは怖い。
帰りは怖い「銀行の出口」、saidinha de banco と呼ばれる犯罪がある。
銀行の出口から帰り道には十分注意しなければならない。

銀行の顧客は、銀行内は安全地帯だと思って、多額の現金を不用意に引き出す。
獲物を狙っている犯罪者は、誰が高額をおろして、どんな身なり服装かを携帯で銀行外の共犯者へ連絡する。
そして、銀行を出たところで強盗に囲まれる。
現金を奪われたり、カードとパスワードを渡すよう強要される。

観察役は疑いをいだかれないよう、銀行員へ冗談を言ったり、親切で人当たりがよかったり、身なりがきちんとしていたりする。
いかにも私は犯罪者です、というような外見をしていることは、まずありえない。

警察の広報担当者は言う。
「銀行でできるだけ多額の現金を下ろさない。
インターネットバンキングを利用する。
多額の現金が必要ならば、あらかじめ銀行に連絡して、目立たない奥で受け取れるよう手はずを整える。」

犯罪の被害者にならないために、ATMを使う時の姿勢は大切だ。
機械の間近に正面から向かい合って、後ろからの視線を遮る。
犯罪者はATM操作者を観察してパスワードを盗もうとするからだ。
受け取った現金を確認して財布に入れるときは、機械と自分の体の間で、体に引きつけ胸元で行う。
後ろに待っている人がいるから早く機械から去ろうなどと親切心を起こして、衆人から丸見えの体勢になって、札を数えたり財布に入れたりしてはならない。

運悪くATMコーナーや銀行を出たところで強盗に囲まれたらどうするか。
緊張の一時であるが、おとなしく従わなければ危険である。
防犯カメラが近くにあるのなら、危険でない限り、カメラの視界に入るように努める。
後で犯人逮捕につながるかもしれない。

銀行を出るときは、停車している車、怪しげな歩行者、特にオートバイに注意しよう。
バイク、特に二人乗りは犯罪者によく使われる交通手段だ。
銀行へ行くときは、できるだけ多人数で行きたい。
二人が相手だと、ひとりを相手にする時と比べて、犯行は困難になる。

(Edição do dia 14/06/2012 14/06/2012 14h37 – Atualizado em 14/06/2012 14h37
Crime na saída de bancos pode ter pena de até oito anos de detenção
http://g1.globo.com/jornal-hoje/noticia/2012/06/crime-na-saida-de-bancos-pode-ter-pena-de-ate-oito-anos-de-detencao.html
を参考にした)

刑事コジャックと蒟蒻

en. konjac
po. kon’nyaku あるいは konhaku

人待ちの間、街のセントロ(中心部)の広場にある、バンカ(banca de revista)つまり雑誌・新聞売り場をなにげなく見ていた。
ある雑誌の表紙に、”KONJAK”という見出しがある。

“KONJAK”とは何か、そのまわりに書いてあるのを読んでわかった。
Receita para incrementar o macarrão que emagrece やせる麺類のレシピ、というもので、雑誌の名前は Só Dietas 「ダイエット・オンリー」という、初めて見る薄い雑誌だった。

KONJAKとは日本語のコンニャクなのだと納得した。
ブラジルのコンニャクは、麺状、つまり糸こんにゃくのようだ。
実物を見たことはない。
サンパウロにはありそうだ。

あとで調べたら、これは英語で、Wikipediaの主見出しは en.wikipedia.org/wiki/Konjac、バリエーションのひとつがKonjakになっている。
英語ではコンニャク(語尾は子音 KOHN-yak)と読むようだ。

ポルトガル語Wikipediaではpt.wikipedia.org/wiki/Kon’nyakuとなっている。
kon’nyaku あるいは konhaku と書かれる。
外来語であるが、綴りをポルトガル語発音すると、前者はコンニャク、後者はコニャクと読める。
雑誌の見出し”Konjak”をポルトガル語風に読むと、「コンジャッキ」になってしまう。

昔、刑事コジャックという刑事物があった。
ツヤツヤの禿頭のTelly Savalas主演の刑事シリーズ物で、調べたら、1970年代にテレビで放映されていた。
原題は”KOJAK”だというから、雑誌で見たのと一字違い、というか一字多い。

刑事コジャックを知っている、テレビで見た記憶がある、というと、年齢がわかってしまうのはしかたない。

Yokiの役員の猟奇な殺人

6月に入って、ブラジル各地でフェスタ・ジュニーナ(Festa junina 6月祭)の準備が進んでいる。
6月祭につきものの食物といったら、トウモロコシや落花生がある。
トウモロコシや落花生その他穀類、乾物や、豆乳など飲料を生産する会社に、Yoki Alimentosがある。
Yokiというマークで、漢字が横にあって、与喜と書かれる。

さて最近テレビニュースで話題になっている事件が、このYokiの役員のバラバラ殺人だ。
この事件について見てみよう。
殺人事件が起きたのは2012年5月19日、被害者はマルコス・マツナガ Marcos Kitano Matsunagaというから、日系ブラジル人だ。

手足がバラバラにされて(esquartejado)ビニール袋に入れられた被害者の死体は、大サンパウロ都市圏で日系人も多く住むコチア(Cotia)の郊外で、5月27日に発見された。
鑑識官は、バラバラにする手際の良さに驚いた。

鶏を一羽まるごと買ってきて、味付けしてオーブンで焼く、鶏の丸焼きは誰も大好きだが、慣れない人が解体するとうまく関節のところで切断できず、きれいに切り分けられない。
せっかくの料理がまずそうに見えてしまう。
人間も同じようなもののようで、鑑識官は、犯人は解剖学に明るいと見た。

解剖学に通じた、動機のある容疑者は誰か?
逮捕されたのは被害者の妻のエリゼ・マツナガ Elize Kitano Matsunagaだ。
彼女は看護師の資格を持っている。

証拠はいろいろなところで上がってきているが、決定的なのは容疑者と被害者の住むサンパウロ市内の高級アパートのエレベーターに取り付けられた防犯カメラの画像だ。

19日晩、外出から戻った夫婦、まだ1歳の娘、乳母はエレベーターで高層のアパートへ昇る。
TV画面を見ると、最上階のペントハウスのようだ。
乳母は仕事を終え、すぐに自宅へ帰っていった。
被害者はいったんアパートから出て、地階へ降り、宅配ピザを受け取ってアパートへ戻る。
一人でエレベーターの中で壁を蹴りつけたり、かなりいらいらしている様子だった。
これが被害者の最後の映像だった。

警察によると19日20時ころ、容疑者は至近距離で夫を射殺した。
容疑者は、被害者の死体を10時間放置後に包丁で解体した。
死後硬直と血液凝固のため、解体時に部屋はそれほど汚れなかった。
翌日11時半、容疑者はひとりでアパートを出てエレベーターに乗ったが、大きなキャスター付きトランク3つを引いていた。
その朝、もう一人の乳母は(乳母二人とは裕福な家庭だ)アパートに着いていたが、異常には全く気づいていなかった。
12時間家を空け、23時50分に帰宅したときは、トランクなしだった。

逮捕された容疑者は犯行を自白した。
夫の浮気が原因で別れ話もあり、喧嘩していたという。
子供は小さいから、一人で自由にできる遺産を目当てにしたのかもしれない。

報道では、容疑者は夫と知り合った2004年当時、娼婦(garota de programa)だったという。
でも看護の心得があり、法学士であるというから、勉学好きだったのだろう。
400枚もの結婚式の写真は、幸福な結婚生活を予感させるものだったのに、どこかで狂ってしまった。

さて、このマルコス・マツナガさんであるが、銃器の収集という趣味があった。
警察はライフルを含む、三十丁を超える火器を発見した。
千発近い弾丸も一緒だ。

マツナガ夫妻は、強盗に襲われることを恐れていた。
銃器のコレクションは、その強迫観念と関係があるのかもしれない。

でもそのコレクションが一つの命を奪い、もうひとつの人生を殺人者となしてしまうのは、皮肉な運命だ。
容疑者が夫を撃った380口径のピストルは、夫にプレゼントされたものだったという。

[2012年6月14日追加]
その後の報道では、エリゼが夫の浮気を調べるため依頼した私立探偵が撮影した、マルコスが女とレストランの前でいちゃつく場面が独占スクープでテレビに流れたり、この女の供述によるとマルコスは妻に嫌気が差して離婚したいとこぼしていたとか、愛人援助の具体的金額とが暴露されていて、金持ちのおやじと妻・愛人、それは同時に客と元・現売春婦の三角関係的愛憎ドラマ事件の様相を示している。

マルコスは愛人をYokiの工場に招いて見学させて、その時は彼女を落花生生産者という肩書きで案内したという面白い話もあった。

事件が報道された当初、冷酷に死体をバラバラにするという手口から、エリゼが一方的に悪者にされていたようだが、殺された旦那も因果応報ではないかとみられてきているようである。

(TV Globo, TV Record, ig.com.brの多くの記事を参考にした)

教訓:
恋人・妻選びは慎重に。
危険な趣味に手を出さない。
金で必ず幸せが買えるわけではない。

今日は一連の移動祝日の最後の日

今日はキリスト聖体の日 Corpus Christiの休日だった。
各地で教会の前の道路に着色したおがくずなどで宗教画を描き、聖体の行列が行われた。

セマナ・サンタ(聖週間)について書いたものに少し付け加える。
このときはカーニバルから復活祭までを一連のキリスト教関係の移動祝日としたのだが、復活祭の後もいくつかあるのだ。
下に一覧表にしてみた。

ブラジルで任意休日(ponto facultativo)になっている日と、特に休日になっていない日がある。
任意といっても、事実上は休日と変わらない。

行事 日の決まり方 2012年 休日種類
カーニバル
Carnaval
週末から
灰の水曜日前日4日間
2月20-21日月火曜日 PF
灰の水曜日
Quarta-feira de Cinzas
復活祭46日前
の水曜日
2月22日水曜日 14時までPF
四旬節
Quaresma
灰の水曜日から
復活祭前日
枝の主日
Domingo de Ramos
復活祭7日前
の日曜日
4月1日日曜日
聖週間
Semana Santa
枝の主日から
復活祭前日
キリスト受難日
Paixão de Cristo
復活祭の2日前 4月6日金曜日 PF
復活祭
Páscoa
北半球春分の次の
満月の次の日曜日
4月8日日曜日
ペンテコステ
Pentecostes
復活祭の49日後
の日曜日
5月27日日曜日
キリスト聖体の日
Corpus Christi
復活祭の60日後
の木曜日
6月7日木曜日 PF

と連なるキリスト教行事の日付は、毎年、天体の月の動きに応じて移動する。

2013年12月14日追加

ポルトガル語でクアレズマ quaresma と呼ぶ四旬節は、ポルトガル語の序数、「第40の」クアドラジェジマ quadragésima (形容詞の女性活用形)、元のラテン語ではアクセントがないだけのquadragesimaが語源になっているという。

ということは四旬節は40日でなければならない。
日本語でもその意味である。
日数計数については、wikipediaのLentにカレンダーを使って説明してあるのがわかりやすい。

四旬節の期間について、このブログに1年半にわたり、誤った情報をのせていたことがわかった。
上の表は正しくなっている。
ここで訂正しておわびいたします。

40という数字は聖書をみると特に意義のある数字である。
イエスが荒野で断食してサタンの誘惑と戦ったのが40日間であった。

みんな一つのリズムで

(en.) All in one rhythm
(po.) Juntos num só ritmo
読み方をカタカナで書くと「ジュントス・ヌン・ソー・ヒッチモ」

昨日ワールドカップ2014ブラジル大会のスローガンが発表された。
同時にプロモーションビデオも披露された。
ブラジル観光案内ビデオのようでもある。

日の出
投網
アマゾン河(多分アマゾナス州)
イグアスの滝(パラナ州)
キリスト像(リオデジャネイロ)
草サッカー
カポエイラ
円盤型美術館(リオデジャネイロ州ニテロイ)
幸運テープ(バイア州サルバドル)
カーニバル(多分リオデジャネイロ)
パンデイロ(タンバリン)
草サッカー
大通(サンパウロ)

youtubeを見ると、けっこう大勢のブラジル人が、ワールドカップに浮かれるよりもっと大切なことがあるだろ、と否定的コメントをつけている。
ブラジル人全てがサッカー狂であると思ったら大間違いだ。
「みんな一つのリズムで」はないのがブラジルだ。

この日、2013年のコンフェデレーションズカップ(Copa das Confederações)の日程が発表された。
2014年のワールドカップ本番同様、ブラジルは6月30日の決勝まで進むと、ようやく初めてリオデジャネイロのマラカナン(Maracanã)スタジアムに登場することになる。
グループAのブラジルは15日の開幕戦をブラジリアBrasíliaで迎え、19日フォルタレザFortaleza、22日サルバドルSalvadorが確定している登場試合である。

レシフェRecifeのアレナ・ペルナンブコArena Pernambucoと、サルバドルのアレナ・フォンテ・ノヴァArena Fonte Nova両スタジアムは建設遅れが心配されているものの、試合会場に組み込まれている。
FIFA事務局長Jérôme Valckeは、今年の11月までにスタジアムは完成しなければならないと言った。
チケットの販売はスタジアムの完成を待って、11月の中旬からと予定されている。

一方ブラジル政府スポーツ相Aldo Rebeloは、コンフェデレーションズカップが(問題の2都市を含む)6つの都市で開催されることに微塵の疑いも持っていない、と心配していない。

ブラジリアは一試合のみだが、ブラジルが戦う開幕戦を押さえており、他の都市はいずれも3試合となっている。
サンパウロでは試合は行われたいが、組み合わせ抽選会が行われる。

ホスト国ブラジルのほかに、現在参加が確定している国は、2010年ワールドカップチャンピオンのスペイン、2011年アジアカップ優勝の日本、2011年のゴールドカップ優勝のメキシコ、2011年のコパ・アメリカの優勝国ウルグアイの合計5ヶ国である。
欠けている3ヶ国は、今月決定予定のヨーロッパ、オセアニアと、2013年2月予定のアフリカのチャンピオンである。

(コンフェデレーションズカップ6都市で、決勝はマラカナン Copa das Confederações terá seis sedes e final no Maracanã
http://esporte.ig.com.br/futebol/2012-05-30/copa-das-confederacoes-tera-seis-sedes-e-final-no-maracana.htmlを参考)